売上は2倍、雇用もちょうど2倍―様々な事務所経営方針を聞いてきて思うこと―Ⅱ
一本筋の通った素晴らしい経営方針や考え方や手法などの講演やセミナーなどを聞くたびに私は、ずっとコンプレックスを抱いてきた。
まず、そういうお話を聞いても、根が真面目とはいえない私は、とても実践は至らない。そこで第一のコンプレックスが生まれる。
さらに
「事務所経営がぎくしゃくしてうまくいかないのは、あんな風に筋の通った、理念や考え方が自分にないからだろうなあ・・・」
と、実際、経営に躓いたりしたとき、実践できていなかった自分を責める、第2段階のコンプレックスを覚えていたのである。
が、「待てよ。」とある時考えた。
「とはいえ、俺の事務所はずーっと右肩上がりで来ているじゃないか。」
と気がついたのである。
私が、事務所経営の指揮を執るようになったこの25年くらいで、売上は父の時代の2倍、雇用もちょうど2倍くらいに増えている。
その間、町の人口は半分以下になった。
商売が人口を反映したものだとすると、売上にして4倍に匹敵するくらい頑張ってきたともいえる。
これは人口がさほど変わらない都市部で、実際に4倍にするよりも難しかったのではないか、とも思うのだ。
もちろん、上記のような素晴らしい経営手法や考え方を実践していたならば、もっと伸びたかも知れない、といえなくもないのだろう。
とはいえ、周りを見渡してみても、そんな具体的な事例は見つけることができなかった。
田舎にいては、全国的な情報などつかみようもないので、他はいったいどうなっているのだろうと思い、出入りしている関係会社の担当者などにも聞いてみた。
しかし、彼らの話を聞いてみても、私の田舎と似たような過疎地で、うちのように2倍に及ぶレベルで規模を大きくしている事務所などなさそうであった。
つまり、そんな自慢できるような経営方針や手法といったものなどなかったわけだが、それなりに結果を出してきたということなのだ。
とはいえ、「我が事務所の成功要因と戦略」などといったテーマで、人前で話せるとは思えない。冒頭に紹介した一本筋の通った方針、考え方、手法などないからである。
雇用は以前の2倍になった。
つづく