「行ってきます」のハイタッチ―孫たちとの日々・・喧騒とカオスの1週間―Ⅴ
さて、孫たちのいた1週間は、出だしが土日だったものの、あとはウィークデーだったので、私はいつものように毎日仕事に出掛ける。
朝、出かける前に孫たちとの時間を過ごし、出際には玄関で「行ってきます」のハイタッチをする。
そんなことを繰り返しながら、自分の69歳という年齢を考えたとき、同級生たちはとっくにこのまま一日家にいる日常なんだろうなあ、と思いを巡らす。
いまだに現役で働いている、というか働かざるを得ない我が身が少し不思議な気がした。
まあ、元気で働けるのだからこれでいいのだろう、とは思っているが・・・
仕事を終えて帰ると、孫たちがまとわりついてきて、いつもの筋トレもままならなかった、というのはすでに書いた通りだ。
さらに問題なのは、そのあとの晩飯である。
カミさんと孫たち一家は、早い時間に夕食を済ませ、あとは寝かせつけるだけの体制に入っている。
もっとも、環境が変わって少し興奮しているせいか、普段の寝る時間になってもなかなかベッドに行こうとはしない。
私は、一人晩飯を食べながらその様子を見ている。
いつもと違って自分でご飯の支度をする必要はないのだが、私が食べる献立も孫たち用に作った料理なのである。
鹿児島の焼酎が好きな長女が、先に晩酌をしながら「パパも飲む?」と聞くので、近年、晩酌をやめていた私も、孫たち用に作った料理の残りをつまみに焼酎を飲む。
孫たちがいる間、私の晩飯は、この焼酎と残り物のおかずだったが、カロリーを抑えるにはちょうどいいや、と特に不満も覚えなかった。
やがて、長女が孫たちを寝かしつけるために寝室に入っても、私は一人で晩酌を続けた。
この時間が久しぶりにカミさんとの二人の時間になった。
いろいろと、離れていた間の互いの生活事情など話しながら夜は更けていく。
こんな時間は、この2年近く取れなかった。
つづく