ビジネス上の厳密さを忌避するマインド―地方企業の2極化、経営者のマインドが企業の趨勢を決める―Ⅱ

企業経営において2極化が進む地方の経済事情。

従来の狭い商圏にしがみついている企業と、その取引対象を広く設定することに成功した企業では大きな差が出始めています。

 

業績を伸ばしている企業は、自らその意識も変え、グローバルスタンダードな契約形態やルールなどにも次第に馴染んできています。

ユルユルだった地方のビジネス感覚も、これらのリーディングカンパニーによって変わりつつあります。

 

地方では、そもそも地縁血縁関係を経済取引の基盤としてきていましたので、ビジネス上の約束事が厳密に守られなかったとしても、あまりうるさいことは言えませんでした。

そういうことを言ったとしたら、言った方が「あいつは口やかましい奴だ!」と逆に非難されるくらいの風土が地方にはあったのです。

 

というより、今でも地方において、お互い商売をするときには、細かい契約上の決め事などをあまり厳密には言い出せないという雰囲気があります。

仕事以外の関係性も濃い状況にあるので、仕事に際してだけスパッと切り替えるという意識があまりないのです。

 

しかし、外部の企業と契約するとなるとそうはいきません。

約束を守らなければ、相応のペナルティーが科せられます。

 

この厳密さが嫌で、地縁血縁圏外の相手とは、今でも取引をしたがらないという田舎の経営者はいくらでもいます。

冒頭に述べた2極化のダメな方に属する企業には、こういったマインドの経営者が多いのです。

 

地方の場合、「外部の企業」というのは、普通は都会の取引先が多いことになります。

総じてそういった取引先は、取引単価も彼らの基準に合わせて変わってきます。

 

つまり、ちゃんと納期や品質などの約束事を守ってくれる企業であれば、地方に比べて、それなりの高い対価を払ってくれるはずです。

逆に、昔から付き合いのある同じエリア内の小規模の取り引き先などは、相変わらず以前からの安い単価を主張してくるのではないでしょうか。

 

 

つづく