「付加価値」を伝えてブランド力を手に入れる―インプットとアウトプットのタイムラグ及び効果の違いについて―Ⅲ
経営者がインプットする情報の幅は、極めて広いものとなり、意図的に取捨選択したとしても、それは玉石混合にならざるを得ない、といえましょう。
これに比べて、アウトプットの方は、インプットされた情報や知識を咀嚼し、消化し、血肉となったものを再び経営者独自の言葉で発信するというものであり、極めて主観的で独自性の強い内容になります。
経営者が、しっかりとインプットをやり続けるということは、努力のたまものにほかなりません。
これを怠りなく続けられる経営者は、私の感覚では、10人中1人といっても過言ではありません。
ところが、アウトプットには、それをはるかに凌駕するような努力が必要となります。
これを実践する人の確率はさらに少なくなって、インプットをやり続ける経営者の中のさらに100分の1くらいではないでしょうか。
つまり、全経営者の中の1000人に1人といった、極めて低い確率になります。
しかも、インプットのようにその効果に即効性はありませんので、継続的にアウトプットを続けたとしても、それが評価されるためには、ある程度の時間の経過が必要です。
当たり前のことですが、単なる情報ではない、一つの主張としてのアウトプットは、その評価が定まるためには一定の時間がかかるのは仕方のないことなのです。
それでは、こんな風に手のかかるアウトプットにはどのような効果が望めるのでしょうか。
努力することによって手にできる果実とは、いったいなんなのでしょうか。
インプットでは、これまで述べてきましたように、様々な形で直接的に必要不可欠なものを吸収することになります。
これに対して、アウトプットには、それを続けることで、じっくりとその企業の持つ付加価値を伝えていく、という役割があります。
アウトプットを通じて、そういった「付加価値」を伝えきった結果、得られるのは企業のブランド力といえましょう。
つまり、アウトプットによって得られる効果、というのは、何と言っても「ブランド力」にほかならないのです。
アクアスキュータムのトレンチコートは一つのブランドですね。
つづく