「情報発信(アウトプット)」は「創造的な行為」―インプットとアウトプットのタイムラグ及び効果の違いについて―Ⅳ(おしまい)
極めて変化の激しい現在のビジネス界において、常にインプットを怠らない、というのは、経営者に課せられた最低条件です。
経営に必要な新しい情報を取り入れ続けて、それを自らの企業運営にフィードバックしなければなりません。
しかし、近年特に注目されてきたのが「情報発信(アウトプット)」という行為です。
インプットした情報や知識に加えて企業経営において経験したこと、積み重ねてきた専門性などをアウトプットすることで、企業の持つノウハウや得意分野を伝えるのです。
つまり、その企業の「付加価値」を伝えることになります。
その「付加価値」を継続的に伝えきれば、それはやがて企業の「ブランド力」を形成し、企業イメージの向上に大きく貢献することになるのです。
とはいえ、おそらく、どんなに私がお勧めしても、アウトプットを行なう経営者は、前述の確率の数字で示した通り極めて少数派でしょう。
なおかつ、それを継続的に行なわなければならないとなれば、その数はもっと少なくなります。
しかも、そこにはしっかりと自分の主張や意見といったものが反映されていなければなりません。
これらの条件をクリアするためには、そのハードルはかなり高いものにならざるを得ないのです。
ということは、これをやりきった経営者が率いる企業が、ある程度ブランド化していくのは必然と言っていいでしょう。
それだけの価値がアウトプットにはあるのです。
つまり、インプットは「作業的な行為」であり、アウトプットは「創造的な行為」ということになるのです。
このようにインプットとアウトプットには、その影響するところに多少のタイムラグがあり、その効果の出方もかなり異なります。
大手ブランド企業は、そのイメージを維持するために、これまで大量の広告を打ってきましたし、これからも打ち続けるでしょう。
この方法は、膨大な広告費がかかるために、中小企業に同じ手法は使えません。
しかしながら、今ではウエブというこれまでになかった世界を駆使して、伝えたい情報を吟味しながら発信することが可能になりました。
しかもそれがトップの裁量でいかようにでもコントロールできるのです。これは極めて恵まれた状況といえるでしょう。
経営者は「ブランドを形成するための情報発信」と割り切って、アウトプットに専念してもらいたい、と思います。
「情報発信(アウトプット)」いたしましょう。
おしまい