発信する情報は極めて主観的かつ強い独自性を持つ―インプットとアウトプットのタイムラグ及び効果の違いについて―Ⅱ
インプットとアウトプットはペアで考えるべきで、どちらか一方では不十分である、と繰り返し述べてきた私ですが、世の中、インプット一辺倒という人の方がはるかに多いことは確かです。
それは、インプットを怠ると、コンプライアンス違反や打ち手の誤りによる顧客の離反といったことが起こりえるため、そうなれば、たちまち経営に行き詰まるからにほかなりません。
つまり、インプットの効果というのは、比較的タイムラグが短く、直接的であるといえます。
それではアウトプットはどうでしょうか。
インプットに比べてアウトプットの方はそれをやらなかったからといって、直ちに経営に支障をきたすわけではありませんし、直接的に困った事態に陥ることもないでしょう。
つまり、アウトプットは外部からの強制や圧力とは無縁の世界であり、経営者の意思だけで結実できる行為ですので、やりたくなければやらなくてもいいことになります。
こう書いてきますと、
「ということは、やはりアウトプットは無用の長物で、無駄な行為ではないか。」
という声が聞こえてきそうです。
しかし、果たしてそうでしょうか。
私はそう考えるのは短絡的であり、アウトプットの価値を理解していない、と思います。
何故そう言えるのでしょうか。
それは、インプットが企業にとって、直接的に必要不可欠なものであるのに対して、アウトプットの役割は、企業に広い意味での付加価値をつけるものだからです。
この二つはその特徴と役割に大きな違いがあるのです。
インプットには単なる情報もあれば、ルールや法律などの重要な規範、企業の方向性や経営の指針となるような内容のものもあり、その幅は極めて広いものになります。
かなり意図的に取捨選択したとしても、インプットされる情報は玉石混合にならざるを得ないのです。
これに比べて、アウトプットの方はどうでしょうか。
私が経営者にお勧めしているアウトプットに、単なる情報の発信は含まれていません。
私が経営者にお勧めしている情報発信は、インプットされた情報や知識を咀嚼し、消化し、血肉となったものを再び経営者独自の言葉で発信するというものです。
したがって、インプットの際に入ってくる客観情報と違い、極めて主観的であり独自性の強いものになります。
インプットする情報のジャンルは様々。
つづく