羽のように軽く、暖炉のように暖かかった!―ダウンウエアの思ひ出―Ⅴ
私がまだ大学生だった50年ほど昔、アメリカ発で日本でも話題になったアウトドアライフブーム。
ただ、アメリカほど本格的なライフスタイルとまでは定着せず、その派生的ブームとしてアウトドアファッションが日本の若者の間にも流行した。
アメリカ生まれのファッション文化には、IVY及びトラッドファッション、ウェスタン、ミリタリーなどがあるが、このアウトドア系のファッションもその一つではないかと思う。
アウトドア的なファッション文化は、現在でも様々な形で普段のファッションの中にも取りいれられているのではないだろうか。
さて、そのアウトドアファッションの中でも、際立って新しかったのがダウンウエアであった。
その一つであるダウンベストを探していた私は、予算的にアメリカ製のものは買えなかったので、主に日本製の登山用品を販売しているショップへと出かけたのである。
本格登山用品の店「石井スポーツ」に、ダウンベストといった中途半端(?)な商品が置いてあるだろうか?!?
・・・恐る恐る売り場を覗くと、何とちゃんと売られているではないか!
しかも、アメリカモノよりはるかに安い!
ロゴを見てみると、石井オリジナル商品であった。
中に入っているダウンはたっぷりしていて厚みもかなりのものである。
値段を見ると6千いくらであった。
当時、アメリカ製のダウンベストは1万8千円くらいしたと思うので、3分の1の値段である。
ただ、よく見ると表面に使用されているナイロン素材はペラッとしていてなんだか薄い。
さらによく見てみると、中のダウンが透けて見える。
しかしまあ、羽織る分には支障はなさそうである。
色はベージュというか薄い茶色で、素敵な色とはお世辞にも言えないが、他に選びようもなさそうなのでとにかく、そのダウンベストを購入したのである。
そうやって、ようやく手に入れたダウンベストを私は結構愛用した。
脅威に感じたのはその軽さと暖かさである。
羽のように軽く、暖炉のように暖かい!
この両方の特長には同じくらいのテンションで感動を覚えた。
冬のレイヤード、ウールシャツにダウンベスト。
つづく