アメリカ製は高くて手が出ない!!―ダウンウエアの思ひ出―Ⅳ
50年ほど昔、アウトドアブームという社会現象があって、そのとき登場したのが、今普通に着られているダウンウエアの数々である。
当初は、機能一辺倒だったこのウエアも、街着としての市民権を獲得する過程で、ダウンベストという寒さ対策にはなんとも不十分ではあるが、気軽さ手軽さにおいて大いなる魅力を発揮するウエアが登場したのである。
というわけで、ダウンパーカーの袖をちょん切ったちょっと変なウエアという最初の刷り込みはあったものの、とにかく「こいつを手に入れたいものだ。」という気分は、私の中にモリモリと湧いてきたのである。
すでに、いろいろなアウトドア専用メーカーが発売していた。
ところが、雑誌その他に紹介してあるダウンウエアは、どれもそのほとんどがアメリカ製である。
当時、日本で紹介されていたのは、確かシェラデザインとかウールリッチ、ノースフェイス、エディバウアーなどであった。
今ではこれらのブランドは、それほど高額なものではなく、おそらく学生なども普通に手に入れることができると思う。
しかし、当時の私の小遣いではいずれも高値の華であったのだ。
さらに現在、モンクレールやヘルノを始め、ダウンウエアもファッショナブルで高額なブランドから、モンベルのように純粋にアウトドアブランドの手ごろな価格のものまでいろいろと揃っている。
なので、こちらの懐具合や用途に応じて選ぶことが可能である。
しかし、当時は、上記のようなアウトドアブランドイコール高級ブランドだったのである。
「ダウンベストいう奴を着てみたい。でも、アメリカ製はどれも高くて手が出ない。 どうしよう?!?」
となった私は、いろいろと調べてみた。
すると、新宿の新大久保に「石井」という、登山専門店があることを突き止めることができたのである。
「石井スポーツ」という店名で、登山に関しては極めて本格的なブランドであることも判明した。
さらに調べると、ここもダウンウエアに関してはオリジナル商品を開発し、その機能は欧米にひけをとらぬものらしいということも分かった。
ただ、ここに、私がタウンウエアとして想定している「ダウンベスト」があるかどうかである。
現在のように、インターネットでチャッチャッと調べることなんかできない時代であった。
電話で聞いてみるという手もあったが、行った方が手っ取り早いと思い、新大久保にある総本店に出向いてみた。
薄手のダウンパーカ。 普段着であります。
つづく