出たらやるけれど、ダメだったらやらない?!?―助成金のあり方使い方について改めて考える―Ⅳ
助成金という経済的な裏付けがあれば、事業がうまくいくのかといえば必ずしもそうではない、という事実を、資金も人材もあらかじめ整備されていた大手企業の新規事業開発プロジェクトの現場で経験した私。
新規で挑む事業というのは、なによりもその当事者の思い入れや情熱といったものが、最も大切な要素なのです。
そういう意味では、助成金に対する姿勢の2番目のパターンである
・資金の目途がついたらやろうと思っていた事業計画があったが、ちょうど当てはまるような助成金制度があったので申請してみた。
というケースでは、資金の手当てについて、助成金だけを当てにしていたのならば、もともとそれほど本気でその事業をやる気はなかった、ということになるのです。
こんな私の見解に対して
「そんなことはない。資金の手当てがどうしても難しいから助成金に頼るしかなかったのだ。」
という言い分があるかも知れません。
しかしだとしたら、
「その針の穴を通すような当てにならない不確定要素が、あなたのやりたいと思っていた事業を、やるかやらないかの決定要因になるのですか?」
と聞き返したいのです。
どんな事業をやるかは決まっているけれども、どうしても助成金的なものがなければ始まらない、成り立たない、というのは3,11の東北大震災のように、何もかも失ったような場合だけだと思います。
ああいうケースでは、国や自治体も通常の助成金とは違った枠組みで支出すべきでしょう。
助成金の申請には、新規事業だけでなく、今の事業の改革改善、拡張のための設備投資といったものもあります。
そういったケースでも、上記のように助成金だけを頼りにしていたのでは、いつまでたっても今の現状から抜け出せないことになります。
私はどうしても必要と思ったら、何としても自分の力で資金の手当てをしてやるべきことをやるべきだと思います。
もちろん、当初資金の負担は大きくなりますが、現状のままでは先がないのだとすれば、そこは思い切ってチャレンジするしかないのではないか、というのが私の考えです。
ということで、
「助成金が出たらやるけれども、ダメだったらもうやらない。」
という程度の事業計画は、初めから見直してみるべきではないでしょうか。
厳しい事を言うようですが、このパターンが一番多いので、ここで助成金というものを当てにして考えている人は、ご自分の事業をもう一度見直していただきたいと思います。
つづく