そんなに慰めて欲しいかⅡ
それからしばらくして、また偶然その先生の話題が出たのは、たまたま建設業のお客さんを訪問しているときであった。
業績が全く振るわないその建設業の社長と、業界の将来について話をしていて、なんのきっかけか、その先生の話題になったのである。
少し前に、件の先生の講演を聴いたというその社長は
「あの先生の話はよかったなあ。また聞きたいなあ。」
とおっしゃる。
「どんな話だったんですか?」
と聞くと、どうやら土建業界の行く先について話をされたらしい。
その内容はというと
「土建屋を取り巻く人たちの中には『何か違う視点で事業を考えろ。』とか『発想を変えて新しいことにチャレンジしろ。』とかいろいろいう連中がいるらしいが、それを言われるあんたたちも辛いだろう。
そんなことを言われても、そうそうできる訳がないんだ。
まあ、できるだけ事業を縮小して家族でやれる範囲くらいで頑張るしかないんだ。」
と、いったようなことをおっしゃったらしい。
若手経営者の集まりのとき聞いた話も「相当、私とは考え方が違うな。」と思ったが、この話を聞いた時もかなりの違和感を覚えた。
とはいえ、私が直接お話を伺った訳ではない。
間接的に聞いただけで、その先生のお考えについてあれこれ言うのは筋違いというものだろう。
つづく