情報を日常の現実に適用すること、つまり言葉を実践で使うこと―ドラッカーの学習を通じて学んだこと―Ⅳ(おしまい)
「情報」を「知識」まで昇華させて、自分の身につけるためには、掛け算九九を覚えるように繰り返し反復練習をすることで、しっかりと記憶させることであると説くドラッカー。
しかる後に、それを実践することによって仕事の成果に結びつけるべし、と説いています。
それは、インプット→反復習得による記憶→実践、といった順序になります。
この反復練習の一部を「情報発信(アウトプット)」に代替させては、というのが私の提案になります。
即ち、インプット→アウトプット→実践、という流れが成り立つのではないか、というのが私の考えでした。
さてそれはともかく、ドラッカー学会理事の佐藤 等氏は、今回のコラムを次のように結んでおられます。
―私は、「ドラッカーの本を読んで理解しようとしてはいけません」と伝えます。
なぜか。
それは、言葉を実践で使ったあとに真の理解は得られるからです。
「子供だろうと大人だろうと、反復練習すなわち知識の体系的な反復が不可欠である。しかる後に意味を理解しなければならない」(『断絶の時代』)
したがって学びのプロセスの第二は、情報を日常の現実に適用することです。
つまり言葉を実践で使うことです。―
もともと私は、「情報発信(アウトプット)」を「実践」のための一里塚と考えていたわけではありません。
アウトプットすること即ち「情報発信」は、そのものに価値があるのであり、これを継続することで企業の販売促進、業績アップに繋がると思っています。
ただ、「情報発信(アウトプット)」に「実践」に繋がるための副次的効果があるのだとすれば、これを使わない手はありません。
インプットされた情報が、アウトプットというプロセスを経ることにより、「実践」にまで繋がるのであれば、これは経営に資するための一連の効果的なパッケージと言えるのではないでしょうか。
いずれにしても経営は、自らの考えた戦略を実践にまで落とし込んで、事業業績の向上という結果を出さなければ意味がありません。
その前段において欠かせない情報のインプットであります。
これを知識にまで昇華させて、実践につなげる。
そのプロセスにおいて有効な手段であるアウトプット即ち「情報発信」、これらはすべて密接な関係にあり、いずれも欠かすことはできません。
経営者は、いつもこの一連の重要なプロセスに、真剣に向き合っている必要があるのです。
まさにタイトルが「実践する経営者」です。
おしまい