「PLAN:計画」の中に本当のイノベーションはない?!?―改めてPDCAについて考える―Ⅵ
PDCAの最大の問題点について、「本質的にPDCAは「最善の現状」を目指したものであるという点」と指摘するビジネスプロコーチの久野 和禎氏。
現状の延長線上である限り、本質的に「大胆なイノベーション」など馴染まないことになります。
確かに、楽しいか楽しくないか、ワクワクするのかしないのか、と問われれば、PDCAを回すことを前提に考えた経営計画は、それを立てるとき「あまり楽しくはなかったなあ」と、思い出します。
つまり、PDCAを前提に考える限り、「現状の外の高いゴール」というのは、あり得ないことになるのです。
このワクワク感が感じられない点に関して、PDCAの抱える問題点を久野氏はさらに次のように指摘されます。
―これは認知科学の発見なのですが、人間の脳は「現状の外のゴール」を設定することで活性化され、そこに向かう強いエネルギーを生み出します。(中略)
また、「PLAN:計画」は、よくて現状のベストであるとともに、たいていの場合は「去年はこれができなかったから、今年はこうしよう」というような反省モードでの計画策定となります。
「反省」によってテンションは下がり、かつ現状の延長線上のゴール設定になり、結果として、脳が現状を変えるために必要なエネルギーを生み出すことができずに、前に進むのがとても重たくなるのです。―
おそらく、真面目な日本人には、楽しいか楽しくないかとか、ワクワクドキドキするかどうか、などという基準で物事を判断することを、良しとしない気質があるのかも知れません。
とすれば、無難で分かりやすい判断基準は過去の「反省」ということになります。
しかし、久野氏は「反省」はテンションを下げる、と言っておられます。
「反省してどこが悪いんだ!?」という声があるかも知れませんが、確かに、未来を決定するはずの経営計画会議が、のっけからもろに過去に向き合う「反省」から入ったのでは、プラスのエネルギーなど湧いてこないような気がします。
そう考えると「PLAN:計画」というものの本質をもう一度最初から考え直してみる必要があるようです。
そもそも、本当に革新的なイノベーションというのは「PLAN:計画」という枠組みの中では成立しないものなのかも知れません。
つづく