人間は「思いついて、実行する」ようにできている―改めてPDCAについて考える―Ⅶ
認知科学の上では、人間の脳は「現状の外のゴール」を設定することで活性化され、そこに向かう強いエネルギーを生み出すようにできているのだそうです。
ということは、一度過去に向き合い、まずは「反省」から入るPDCAは、革新的な事業の推進役にはなりにくいのかも知れません。
しかも、PDCAでは大抵の場合、目指すゴールを「現状の最適化」に設定します。
所詮、過去からの延長線上にある「現状の最適化」も、本質的な意味では革新的とは言えません。
その点をビジネスプロコーチの久野 和禎氏は、次のように指摘しておられます。
―環境変化が激しい現代にあって、「現状の最適化」程度を目指すようでは、変化した環境に適応できず苦しい経営になることは容易に想像できます。
これが、PDCAが今の時代に古くなってしまったという理由です。
また、PDCAは人間の本来の性質にあったものではありません。
人間は「思いついて、実行する」ようにできています。
あるいは、PDCAの「P」と「D」です。
そこに、「CHECK:評価」や「ACT:改善」を入れるのは、こうしたらいいだろう、というあとづけです。―
人間が本来「思いついて、実行する」動物であるというのは、私などはなんとなく納得のいくところです。
ほとんど直観に近いやり方でこれまで自分の事業を経営してきましたが、結局はそれが大きく外れたことはありませんでした。
むしろ、それまでの考え方ややり方にこだわって革新を怠ったならば、
「なんとか業績を伸ばし続けることができた・・・」
という今の状況はなかったかも知れません。
周りの多くの経営者が、その革新に取り組もうとしなかったために衰退していきました。
今回のテーマは「PDCAに対する批判」ということですが、地方企業の場合、PDCAどころか、ちょっとした経営革新も行なわれずにここまで来た企業がほとんどです。
私は地方衰退の要因はそこにあると思っています。
話が逸れました。
久野氏は、「P」と「D」はともかく「C」と「A」にはやや懐疑的になっておられます。
しかし、「C」と「D」を外したならば、そもそもPDCAとは呼べなくなります。
つづく