「立派な経営」というイメージ―改めてPDCAについて考える―Ⅰ
以前、「現場に考えさせる、決めさせることの難しさ」というタイトルで、ドイツ企業に就職し、その日本企業とのあまりの文化の違いに驚いた、という日本人ビジネスマンのコラムを取り上げたことがありました。
その中で触れられていたのが、PDCAを回すかどうかという課題でした。
ところが、ドイツ人上司から返ってきたのは意外な返事で、「PDCAは回す必要がない。」というものだったのです。
そのときのやり取りについては、詳しく書いておりますので、それを読んでいただければと思います。
さて、そのPDCAですが、近年いろいろな批判があるようで、その中の1つを取り上げてみたいと思います。
実は、私が推し進めているビジネスの一環として「計画経営の実践」というテーマがあります。
このテーマにおいては別会社まで作り、お客さんに
「中期経営計画と短期経営計画を作成し、目標管理を実践することで事業の発展を図りましょう。」
といったことを推し進めていました。
しかしながら、こちらのビジネスはなかなかうまくいきません。
大事なこととわかっていても、お客さんに普及しないのです。
まずは、自分が経営計画を立ててPDCAを回し、事業が発展することを、身をもって見せなければ、とも思いましたが、それもなかなか実践できていませんでした。
「これではいかん!」と思いつつ、ここまで来て、あるときふと気づいたことがありました。
それは
「PDCAを回してきたわけじゃないけど、事務所は割とうまくいっているじゃないか。」
ということです。
そうなのです。
私の性格上、行き当たりばったりのように見えていた私の事務所の経営でしたが、わずかとはいえ、ずーっと右肩上がりで来ているのです。
昨年のコロナ禍の1年を含め、20数年、1回も前年の業績を下回ったことはありません。
このことは、それだけの年月、ずっと意識してきたわけではなく、近年になってあるときふと気づいたのです。
「そんなに立派な経営をしてきたとは思っていなかったけれど、一応、業績を落とさずにここまで来ているじゃないか。」
ということです。
私の頭にあった「立派な経営」のイメージの中には、もちろん「経営計画をきちんと立ててPDCAを回さなければ・・」という内容も入っていました。
つづく