インターネット販売なんて遊びのレベルで終わるよ・・・―現代経営に不可欠な「先見性」を手にするには―Ⅱ

「先見性」が、経営者にとって不可欠な資質であることは、古今東西、昔も今も変わらない事実であります。

にもかかわらず、それまで引きずってきた価値観や主義主張にとらわれて、新しい技術や考え方といったものを、にわかには受け入れられない経営者もまた実に多いのです。

 

例えば、インターネットが普及し始めの頃(20年くらい昔のことです。)も同様のことが起こりました。

私はある中小企業診断士の方に、次のように言われたことがあります。

 

「海江田さん、知っていますか。インターネット販売なんて、1000件アクセスがあって1件獲得できればいい方なんですよ。こんな効率の悪いものが普及するわけがない。せいぜい、遊びのレベルで終わりますよ。」・・・

 

さすがにこの人が中小企業診断士だっただけに、そんな立場の人がこんな発言をするとは思いもよらず、私も少なからず驚いたものです。

確かに、インターネット販売の成約率というのは、彼の言う通りかも知れません。

いや、もっと低い確率かも知れないのです。

 

それでもネット通販は、今や巨大な商取引を形成する産業にまで成長しています。

それは市場の分母が桁外れに大きな規模になったからです。

 

その将来像が、あの中小企業診断士は、何となくでも想像できなかったのでしょうか。

専門家を標榜しながら、あの程度の発想しかできなかった彼のような人材に指導を受けた経営者は、気の毒というしかありません。

 

携帯電話が普及し始めた当初の頃も、似たような話がありました。

私は、したり顔の先輩ビジネスマンに次のように言われたことがあります。

 

「日本の公衆電話の設置数は、どれくらいあるか知っているのかね。町のどこにいても確実にかけられる電話があるのに、そんなもの(携帯電話)が普及するわけがないじゃないか。」

彼に限らず、似たような話をする年配のビジネスマンに何人か会ったことを覚えています。

 

確かに、初期の携帯電話はカバーしている地域が限られていたり、音声がクリアでなかったりと欠点や欠陥が多かったことは事実です。

しかしその後、世界中に普及した携帯電話が、人類にとって、ライフスタイルそのものを変化させる存在になっていったことは申し上げるまでもありません。

         インターネット通販での購入は、今や日常茶飯事。

つづく