馬車の方が速くて確実だった?―現代経営に不可欠な「先見性」を手にするには―Ⅰ

「先見性」は、古今東西、経営にとって最も重要な要素のひとつとして語られてきました。

また、経営者にとっても、事業を維持発展させていくための、不可欠な資質でもあるのです。

 

さて、その重要度は、近年益々大きくなっているように見えます。

というのは、世の中の変化のスピードが速くかつ振れが極めて激しいからにほかなりません。

つまり、「先見性」を持って対処しなければ、たちまち時代の流れに置いて行かれることになります。

 

ところが、世間にはこの流れを無視するどころか、自分の主義主張に合わないと、真っ向から否定にかかる人がいるから不思議です。

しかしながら、それが経営者となると、「不思議な人だ・・」と、笑ってばかりもいられません。

 

「先見性」の欠如がいかに滑稽かつ悲劇的な結末を生むか、ちょっと考えればわかることです。

それは例えば以下のような事例について考察してみることで理解できます。

 

昔、自動車が出現したとき、

「これが将来の重要な移動手段や輸送手段になるだろう。」

などと誰が考えただろうか、ということです。

おそらく、

「馬車の方が速くて確実なのに、あんなものに頼る奴の気が知れん。」

くらい思ったのではないでしょうか。

 

初期の頃の車は、べらぼうにコストがかかり、スピードも遅く、運べる量も限られており、しょっちゅう故障する厄介な機械だったと考えられます。

よもや、この大変な代物が、世の中の物流や移動を劇的に変化させ、これらの産業を支えるインフラになるなどとは誰も思いつきもしなかったでしょう。

 

世の中に、ものすごく革新的な技術や何かしらの成果物が登場したときは、上記のような現象が起こるものです。

このことは、古今東西変わらないのではないでしょうか。

 

             車は、今でこそ高性能ですが・・・・

つづく