ドンピシャのダッフルコートが・・・―コート、コート、コート・・・続き―Ⅴ

念願の定番トレンチコートを、アパレルメーカーの倒産特別セール、という思わぬ形で手に入れた私。

これで、いろいろなタイプのコートがある中、最後に欲しいのはダッフルコートだけになった。

 

とはいえ、ダッフルコートの中でも希望する色、デザイン、使用などに対する希望が私の場合はっきりしている。

それだけに、ドンピシャの奴が現れるまで気長に探せばいいか、と思っていた。

 

そんな矢先、たまたま東京に行く機会があった。

所定の用事など済ませ、都内をブラブラと散策していたときのことである。

 

昔、自分たちで立ち上げた会社が表参道の近くだったので、上京した際にはときどき訪れて、用もなく歩き回ることが多い。

表参道は、私がいた頃は「同潤会アパート」という古い建物があったが、それが壊され「表参道ヒルズ」が建設されたりして随分変わってしまった。

 

その他にも、世界の一流ブランドが次々と旗艦店を出店したりして、全体的に大きな資本の影響が色濃くその雰囲気を形成するようになった。

30年前の「やや静かないい感じ」とは打って変わって、国際色にぎやかなメインストリートになったのである。

 

さて、前置きが長くなってしまったが、その旗艦店の一つにポロ・ラルフローレンのロードサイド店がある。

表参道を散策していた私は、その日もふらりと立ち寄って、デニムやセーターなど覗いていた。

 

すると、ゲゲッ!件(くだん)のダッフルコートが目の前にかかっているではないか!

色はやや明るいキャメル(ベージュといってもいい)ループは麻ひもでできており、トグルは木製である。

 

予想もしていなかった瞬間に、何もかもが、私が探していたタイプにドンピシャのダッフルコートが目の前に出現したのだ。

「うーむ、こ、これは・・・・」

思わず絶句する私。

 

と、その瞬間には、

『こ、これはとにかく羽織ってみねばなるまい・・・』

と、心の中でつぶやきながら、件(くだん)のコートに手をかけていた。

とはいえ、展示してあったのはそれ一着だったので、サイズその他のこともあり、コートを手にしながら、目で誰か店員はいないか探す。

 

          外国の街角を思わせるラルフローレン表参道店

つづく