ラッキー!!―ここから出ないで!!きっちり決めないと気がすまない女性の性格―Ⅰ

 

実を言うと、私とカミさんは幼なじみなのである。

小学4年生のとき、転校生だった私はカミさんと同じクラスになった。

 

5年生に上がるとき、当時6クラスあった私の学年はシャッフルされ新しいクラス編成になったのである。

あの頃は子供の数も多かったので、シャッフルされると、元のクラスの子とまた同じクラスになる確率は低い。

 

ところが、私とカミさんは同じクラスになった。

しかも、当時二人掛けだった机の隣同士になったのである。

 

あの頃のカミさんは結構可愛かったので、私はこころの中でひそかに喜んだ。

「ラッキー!!」

 

ところが、である。

新学年の初日に、二人が机に座るなり、カミさんはその机の真ん中に、定規でキリキリと線を引っ張ったのである。

そして、私の方に向かい

「この線からこっちに出ないでね。わかった?」

と言い放ったではないか。

 

突然の宣言に不意を突かれた私は

「あ、ああ・・わかった・・」

と、あいまいに返事をするしかなかった。

テリトリーをはっきりさせる、という女の子特有の志向にたじろかされた最初の経験であった。

 

 

 

つづく