自分の力で食べていける人だけが生き残る世の中―「働かないおじさん」特集に見る日本のビジネス業界事情―Ⅷ

日本型雇用システムから脱却しないと手遅れになるとの危機感から、黒字企業による「黒字リストラ」という状況さえ生まれている昨今の日本企業。

そこでまっ先にリストラのターゲットとされているのが「働かないおじさん」ということになるのだろう。


そんな状況をこのコラムでは次のように書かれている。
―日本型雇用システムを象徴する40~50代の「働かないおじさん」や「妖精さん」の処遇を変えることが、日本型雇用システムからの脱却につながる。

論理的には必然として、彼らをターゲットとする「40代強制定年」が進んだ、というわけだ。


要は、これからは会社に食べさせてもらっている人は生き残れず、自分の力で食べていける人だけが生き残るようになる。

そして、自分の力で食べていける人にとって、会社に所属するかしないかは二次的な意味しか持たないようになっていく。―


話は少し逸れるが、田舎で「働かないおじさん」を見ることはあまりない。

そんなポジションの人を雇っていられるだけの余力のある大きな企業などないからである。


とはいえ、田舎でも私の知る限り1カ所だけそんなポジションの人間を抱える組織がある。

それは市役所である。


以前、家内が同窓会かなんかの連絡で、市役所の同窓生を訪問したときのことである。

その人のいたセクションのドアを開けたとき、暇そうに新聞を読んだり、パソコンに向かっていたおじさんが一斉にこっちを見たのだそうだ。


家内の同窓生は、そのセクションの中でも忙しく働いていたそうだが、暇そうなおじさんが何人もいたらしい。

あとで家内がその同窓生に

「あの人たちは何なの?」

と聞くと、彼は

「ああ、あれはなんもやることのないアホばっかりだよ。」

と、まるで吐き捨てるようにのたまったそうである。


私はそれを聞いたとき

「ああ、ありそうな話だな。」

と思った。

経済が疲弊して賃金なども安い地方において、地方公務員の給与の高さが問題になっている。

その高い賃金に、この「働かないおじさん」の分も含まれているとしたら、税金を払っている市民としてはとても納得のいかない話だろう。

 

 

           事務所のミーティング風景。みんなよく働きます。

 

つづく