日本型雇用システムから脱却しないと手遅れになる・・―「働かないおじさん」特集に見る日本のビジネス業界事情―Ⅶ
「働かないおじさん」を生んできた日本型雇用システムにもいよいよ限界が見え始めてきたようで、企業側も具体的な動きを見せている。
それはいったいどのようなものであろうか。
このコラムでは「「40代強制定年」が当たり前になる」という小見出しで次のように解説している。
―そもそも、これまで日本の労働者は守られ過ぎてきた。
欧米の労働市場は、日本よりはるかに流動的である。
一流企業は何年もかけて育てないとモノにならない新卒など採用しない。
採用するのは他社で経験を積み、スキルを磨いてきた即戦力の人材だ。
年功序列の日本型雇用システムにおいて、企業の管理職ポストは限られており、40代というのは曲がり角であることは言うまでもない。
いまの日本の企業には生産性に見合わない賃金を払う体力はない。
すぐにでも日本型雇用システムから脱却しないと手遅れになるとの危機感から、昨今の「黒字リストラ」という状況が生まれた。―
日本の労働者は守られ過ぎてきた・・・という意見には異論ある方も多いだろうと思う。
「働かないおじさん」とても、一時は「社畜」などと揶揄されながらも、企業への忠誠心を貫き通し続けてきたはずである。
それを今さら「守られ過ぎだ!」とは納得のいかない人も多いのではないだろうか。
とはいえ、とにかく時代は変わった。
確かにどうあれ上記のように管理職ポストは限られているわけで、これまでのようなピラミッド型の組織構造では、こぼれ落ちる人材が出てこざるを得ない。
そのこぼれ落ちた人材の雇用もなんとか維持してきたのが、これまでの日本企業のあり方だったのだろう。
そこで登場したのが「働かないおじさん」という、極めて日本的な特異なポストであった。
しかし、企業側がもうそんなポストなど抱えていられないことは明白である。
従来の日本型雇用システムを維持しようと思えば、まだできなくもない黒字企業でさえも変わろうとしている。
いよいよ「働かないおじさん」側も本気で自分の行く末を考えざるを得ない状況に追い込まれてきたのである。
昔は、会社のために「働くおじさん」だったのだが・・・・・
つづく