業績が好調な企業までリストラに踏み切る時代―「働かないおじさん」特集に見る日本のビジネス業界事情―Ⅵ
若いころの会社への貸しを取り返しているともいえる、日本型雇用システムの象徴のような「働かないおじさん」の時代は終わりつつあるようだ。
今後、日本企業の雇用システムはどのような方向に向かうのであろうか。
その点についてこのコラムでは、「「黒字リストラ」の意味」という小見出しで次のように述べている。
―働き方改革、副業容認、ワークライフバランス、同一労働同一賃金など、これらはすべて日本型雇用システムから脱却するために進められているものだ。
リストラの中身にも、その兆候がはっきりと表れている。(中略)
(業績不振企業のリストラはもちろんのこと)注目すべきは、2018年度決算で過去最高益を出したキリンホールディングスをはじめ、アステラス製薬、カシオ計算機など、業績が非常に好調である企業までリストラに踏み切っている点だ。
その募集の対象年齢も、多くの企業が足並みを揃(そろ)えるように、45歳にまで下げてきている。―
これはどう見ても「働かないおじさん」世代を狙ってのリストラの流れにほかならない。
こうなるのは、前述のように若いころの会社への貸しを取り返しているという日本型雇用システムが根本にあるからである。
しかしこれは、その対象とされている「おじさん」からすればたまったものではないだろう。
というのは「そういう約束」だったから、若い頃は安い給料にもかかわらず、身を粉にして一生懸命働いたのである。
その「貸し」を取り返す時期に来たら、今度は「働かないおじさん」というレッテルを貼られて、リストラの対象となるわけである。
「約束が違うじゃないか!」という気持ちにならざるを得ないだろう。
順調に出世して、それなりの役職を獲得できれば、その地位に相応しい仕事をこなすことになるのだろうが、そうでなければ「働かないおじさん」というポジションが待っているのだ。
まあ、そこにあぐらをかこうという根性自体情けないとは思うが、それが組織のシステムとして初めからの約束事だったのだから仕方がない。
自分ひとりの力でどうなるものでもなかっただろう。
しかし、そういった日本型のシステムも終焉を迎えつつあるようだ。
そのあたりの企業の動きについて、引き続きこのコラムでは述べている。
若い頃は押しつぶされそうになるくらい過剰に働いたのになあ・・・
つづく