業界の現状をリセットしてスローダウンする貴重な機会―踊らされないためには・・「仕掛け」に乗るのか乗らないのか!?―Ⅱ
今回の新型コロナウイルス禍で、大きな打撃を受け、事情が一変した世界のファッション業界。
これまで批判を浴びてきた様々な課題にどう向き合っていくのであろうか。
読売新聞の特集記事では次のような記述がみられた。
― 新型コロナウイルスのファッション業界への影響は深刻だ。
ちょうど春物が並ぶ時期に多くの国で店が営業自粛を迫られ、2020~21年秋冬物の生産に支障が出ている。―
ファッション業界では、或るシーズンのビジネスが予定通りに回らなかった場合、次のシーズンまで深刻な影響を及ぼすということなのであろう。
資金繰りその他の関係で、市場に送り出した商品がそのシーズン順調に販売できなかったとすれば、次のシーズンの製作が滞ってしまう、という業界のサイクルになっているようだ。
ファッション業界自らが作り出したこのサイクルに、業界自身が苦しめられる、という皮肉な結果になっているのである。
以前から問題とされていたこの状況に、ファッション業界の巨人が立ち上がったのである。
そのことをこの記事では次のように紹介している。
― こうした状況で、いち早く声を上げたのが、イタリアを代表するデザイナーのジョルジオ・アルマーニ氏だ。
4月初め、アメリカの業界紙「WWD」に公開書簡を発表。
衣料品が過剰に生産されたり、実際の季節とかけ離れたスケジュールで販売されたりしている状況について、
「今回の危機は、業界の現状をリセットしてスローダウンする貴重な機会だ。」
と訴えた。―
ファッション業界の重鎮が、このような声を上げるというのは珍しいと思う。
というのは、上記のような状況を創りだしてきた張本人だからである。
これまで自分たちが作り上げてきたファッションビジネスのあり方に行き詰まったあまり、音を上げたということであろうか。
とはいえ、こういった気づきは悪いことではない。
以前から課題と思っていたことにようやく手をつけるということなのだろう。
つづく