日本の経営者はまだそんな日常を送っていたのか!―財界OBが語る新型コロナウイルス禍において気づかされたこと―Ⅳ

さて、経済同友会前代表幹事の小林喜光氏へのインタビューでは、然るべき地位まで登りつめられた私より少し上の世代の意見を聞くことができた。

ここで語られていたことで私が興味深かったのは、これまでの日本企業文化を代表する立場の人が何を語られるかということだった。


もちろん、日本を代表する優秀な方なので、現状認識力や分析力といったものも、先見性についても優れていたと思う。

そんな中で最後に語られていた、これまでの仕事のやり方や考え方に対する感想が、私には非常に面白かった。


それは以下のようなものである。


― この2か月、私自身もテレワークを行ない、通勤や移動の手間が省けて極めて効率的に働けると実感した。

「毎晩会食、土日はゴルフ」という生活がいかに異常か、この年で気づいた。

コロナ感染が収束しても、以前の仕事のやり方に戻してはいけない。―


ここの感想は極めて興味深いところである。

この年(73歳)になられても、新しいビジネス環境を受け入れられているのは素晴らしいことだ。

ご自分でテレワークを実践してみられて、こういった働き方による効率性や利便性を実感したということになる。


「毎晩会食、土日はゴルフ」という生活がいかに異常か、この年で気づいた・・・という点も柔軟である。

ただ、ここで少し驚かされたのは、日本の経営者はまだそんな日常を送っていたのか!ということである。

こういう世界は、誇張的に語られることはあっても、まさか実際これほど典型的な形で残っていたとは思わなかった。


もう一つ考えさせられたのは、こんな風に気づかれるのはいいことだと思うのだが、逆に感じるのは、今回のような事態にならなければ気づかなかったのだろうか?ということである。

「この年で気づいた・・・」と、おっしゃるのはいいことだと評価する一方で、「この年」になられるまで、そんなことにも気づかなかったのかなあ・・・とも思うのだ。


多くの経営者が、小林氏のように気づいてくれていればいいのだが、果たしてどうだろうか。

そういう意味で、日本の企業文化の抱える課題は、まだ多いといえよう。

 

            接待、飲み会もほどほどに・・・・

つづく