日本企業凋落の原因を探る―「ジャパンアズナンバーワン」の栄光はどこへ行ったのか!?!―Ⅵ

ダメ会長がダメ社長を選任する日本企業の社長交代劇。

この構造を変えて、日本企業の復活を図るにはどうすればいいのか!?! 

最後にその処方箋について、植田氏は次のように提言しておられる。

 

―5. 日本企業は何を変えていくべきなのか

 ここまで見てくれば、日本企業の問題点と処方箋は明らかだろう。

 仕事のできない奴が仕事のできない奴を社長に選ぶという仕組みから、思い切ったことのできる奴を社長に選ぶという形に変えていかなければならない。

 

 社長(代表取締役)は、取締役会で選ばれるのだから、まず、取締役から、社長の取り巻きを外していくことが必要である。

株主が取締役候補を精査して、社長の取り巻きには反対票を投じて、会社の利益を第一に考えるような人だけに賛成票を投じるべきである。

 

 これを徹底すれば、取締役の多数は社外取締役になる。

社長は、彼らの支持を得ることで、初めて社長に選任してもらえるのだから、社長は、当然会社の利益を第一とし、会長や相談役の意見には耳を貸さなくなる。

 

 そもそも、改革を妨げる意見を出すような相談役や会長は必要ない

全廃するのが筋だろう。

素早い改革が行えるように、社長に全権を与え、その経営戦略実行の成果を取締役会がつぶさにモニタリングする。

勿論、成果が出ないなら交代させる。

 

 こうした健全なガバナンスが実現することで、初めて、日本企業もアメリカ企業や中国企業のように素早く環境変化に対応し、ビジネスモデルの変革ができるようになるはずである。

次の30年が失われた30年とならないことを祈りたい。―

 

なるほどなあ・・・・

かつて、ジャパンアズナンバーワンといわれ、世界を席巻した日本企業がいまだに浮上できないでいる理由がここにある。

アホ社長の再生産という仕組みが強固に出来上がっているからにほかならない。

 

ここで思い出すことがある。

それはバブルが崩壊し、護送船団方式といわれた日本の金融システムが転換期を迎えた頃のことである。

 

どうしてこうなる(バブル崩壊)まで、日本の金融システムは機能しなかったのか・・・という疑問に対して、そのトップの経営能力について次のようなことが言われていたのである。

 

当時、銀行の頭取が務まるには次の3つを確認していればいい、などと揶揄されていたのだ。

その確認というのは、一つの業務について

・それは前例があるのかね?

他行の動きはどうなのかね?

金融庁は何と言っているのかね?

 

この3つを気にかけていれば銀行の頭取は務まる、などといわれていたのである。

おそらくこれに近い状況だったのであろう。

結局、護送船団方式は崩壊し、その後、銀行業務も随分変貌した。

 

 

つづく