日本企業凋落の原因を探る―「ジャパンアズナンバーワン」の栄光はどこへ行ったのか!?!―Ⅴ
ヒラの取締役、常務に上がったばかりの奴、自分と5、6歳年が離れた奴、新入社員のときに自分が指導して一人前にしてやった奴、気ごころの知れた奴を指名しておけば「このご恩は一生忘れません。」とばかりに忠誠を尽くす・・・
といったことが、日常的に行なわれている日本の上場企業における社長交代劇。
こうなると、社長はやや若返ったといっても、会社組織自体が若返るというか、刷新することはないだろう。
おそらく、経営陣の意識は急泰然としたまま続いていくのではないか・・・
その点に関して植田氏は次のように、鋭く指摘しておられた。
―4. こうして「相談役―会長―社長」の盃が固められ、経営は思考停止する
会長、つまり先代社長ができない奴を社長に指名するということは、先代社長自身も先々代社長=今の相談役に、そのようにして選ばれたということだ。
社長は会長(先代社長)に一生恩を感じ、会長は相談役(先々代社長)に一生恩を感じ、何代にもわたる上下関係が出来上がる。
こうして見てくればわかるように、社長になったと言っても、自分の下に対する権力は絶大だが、自分の上に対しては、頭がまったく上がらない。
会長が、もしくは相談役が、経営に口を出してしてきたら、それに従わざるをえない。(中略)
だから、社長になっても、思い切ったことはできない。
特に、先代社長、先々代社長がやったことを否定することなど、もってのほかである。
社長になって新しい経営戦略を打ち出すよりも、先代社長、先々代社長のやったことを尊重してやっていくことが、社長の至上命題となる。
いつまで経っても日本株式会社は足踏みしている
結果として、会社は環境変化への対応ができなくなる。
例えば、今の時代なら、デジタル・トランスフォーメーションを図り、過去のビジネスモデルを捨て去らなければならないが、そんなことはできない。
先代社長、先々代社長が築き上げた大事な既存モデルを捨て去ることは許されない。
こうして、日本の会社では、環境変化への対応が遅れ、十年一日のような日々が続く。
動きの早いアメリカ企業や中国企業にどんどん遅れていく。―
うわーっ!そうだったのか!という感想である。
以前から、
「かつてあれほど優れていた日本企業が、何故いつまでもこんなに世界に後れをとっているのだろう?優秀な人材がトップについているはずなのに・・・・」
と、思っていたが、
「こういう構造になっていたのならば無理もないわ!!」
というのが率直な感想なのだ。
しかし、こんな体たらくだったから、かつて日産はカルロス・ゴーンをトップに招へいしたのではないのか。
カルロス・ゴーンについてはその後いろいろあって、現在のような情けない状況に至ったが、少なくとも、彼が改革に乗り出した数年の間に日産はV字回復したではないか。
植田氏の指摘されるような構造がわかっていたのなら、ほかの企業も同じようにできなかったのであろうか。
そういった処方箋についても植田氏は指摘しておられる。
つづく
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海江田事務所は、少々不便な立地(かなり田舎なもので・・)です。
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とても感じの良い(?)女性スタッフが淹れたてのコーヒーでおもてなしいたします。
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是非、一度遊びに来てください。
税務に限らず、経営全般のごご相談に応じます。
5年後の我が社が「見える化」できてすごくよかった、というノウハウもありますよ。
皆様のお役立てることを心掛けています。