狂乱の半夜―恒例、バーベキューの夜はかくも愉快に過ぎ去った―Ⅱ

バーベキュー大会の準備は、1ヶ月以上前から取り掛かる必要がある。

というのは、用意するアイテムが結構多く、借りたり購入したりと、あちこちに手分けして手配しなければならないからだ。

 

私の事務所の場合は、新人か若手の誰かが担当することになる。

今年は、若手のT君と、新人のH君がその登板に抜擢された。

抜擢というと聞こえはいいが、大いなる雑用係といったところで、仕事の合間を見つけては走り回らなければならない。

 

私は、日程とか予算とか、大まかなところを聞かれただけで、後はほぼ任せっきりであった。

そのほかに頼まれたのは、椅子が足りないのと照明があれば助かるのでお願いします、ということだけだったのである。

 

さて、開催当日になると担当者の二人だけでなく、パートの女性も一緒に、昼過ぎから準備に取り掛かる。

開始は夕方5時半である。

お酒を飲むには、ちょっと早いようだが、おしりを9時と決めていたので、少しでも長く楽しむためには早く始めるに越したことはない。

 

こうして、例年通り狂乱の一夜ならぬ半夜が始まったのである。

「半夜」としたのは、始まりと終わりが例年よりもずっと早いので、半分ということだ。

 

この日は、家族持ちで参加したい家族がいれば連れてきてもいい、ということで、パートのNさんと社員のB君が子供を連れてきていた。

炭火は既におこしてあったので、早速肉を焼き始める。

 

ところが、私が担当のT君に頼まれていた照明を忘れたために、夕闇迫る中で灯りが足りず、肉を焼く手元がよく見えない。

「これじゃあ焼けたかどうかわからない。」

と、家まで照明を取りに帰ったりして、バタバタの中でのバーベキュー大会開始であった。

 

        母(黄色いブルゾン)も交えて狂乱の夜は始まった。

つづく