狂乱の半夜―恒例、バーベキューの夜はかくも愉快に過ぎ去った―Ⅲ
照明をわざわざ取りに帰ったりして、バタバタの出発であったが、私の乾杯の音頭とともに、なんとか無事に大バーベキュー大会は始まった。
その前に、私は88歳になる私の母を迎えに行った。
母は一昨年、父が他界して未亡人となり、普段は独り暮らしである。
母は、当初は気楽な独り暮らしを楽しんでいたが、今年、運転免許を返上し、車を処分してからは、手持ち無沙汰な時間が多くなったので、こういう気分転換は大歓迎のようだった。
とはいえ、父と事務所を切り盛りしていた時代からすると、メンバーがほとんど入れ替わったため、母にとって知らない顔、初めて見る顔も多い。
私は、最近は言った二人のメンバーを紹介した。
さて、そうこうしているうちに肉もほど良く焼け、サーバーごとレンタルしてきた生ビールがよく進む。
特にイベントごとは用意していなかったので、みんなでワイワイ飲み食いしていた。
すると、バーベキュー担当として当初から奮闘していたH君が「さあ今日の目玉ですよ。」と、何やら長方形のアルミホイールでできた大きめの容器を持ってきた。
中を見ると、白いドロドロの物体が入っている。
これまでこんなものがバーベキューに出てきたことはない。
「なんだろう?」といぶかっていると、それはチーズフォンデュのチーズを溶かしたものだった。
金網の上の肉や野菜を脇にどかして、そのチーズフォンデュの入った容器を火にかけた。
なるほどこれはいい!
なかなか面白いアイディアである。
H君がはりきって準備したらしい。
すぐに、これまたお客さんのところから仕入れたフランスパンの一口サイズに切られたものが配られる。
金串がないので、めいめいが手元の割りばしに刺してチーズを絡め口に入れる。
あったかくてこいつはうまい!

肉が焼ける!!
つづく