若い人が新規でチャレンジした方が話が早い!―事業承継支援、というけれど・・・―Ⅷ(おしまい)
「新しい時代の新しいビジネスモデルは、自分で考えるしかない。」
・・そう設定すると、旧来の価値観にこだわったり付き合っている暇はありません。
新しい時代に際してやるべきことはいくらでもあります。
ただ、その方法論がいまだに確立していないのが、今の日本ではないでしょうか。
それは過去の成功体験が大きすぎたせいでもあるのです。
そういう意味では、それを背負った状態の事業を承継することがなかなか難しいのは無理もないところかも知れません。
相当なモデルチェンジを必要とする事業承継は、後継者にとって大きな負担を強いるのです。
こう考えてくると、いい状態で事業が存続していためには、無理な形で後継者に引き継がせるよりも、むしろM&Aの方が現実的かも知れないと思えてきます。
M&Aは、ある程度力量のある会社が、欲しい会社を買収します。
買収の理由は、新規部門への進出だったり、既存部門の強化だったりといろいろです。
いずれにしても、何らかの目論見プラス資金力あってのことなので、事業の存続についてはとりあえず保証されるのです。
まあ、親が「当初から自分の代かぎりでやめようと考えていた」とか「事業に将来性がない」と思っているのであれば、その子供が無理に継ぐ必要もないわけで、子どもの方も自分の人生は自分の裁量で考えればいい、と私は思います。
事業に対する「思い」や「情熱」といった、「無形の大事ななにか」が先代と後継者の間に共有できなければ、事業承継がうまくいくとは思えません。
このアンケート結果を見て私は、結局時代に合った新しい事業は新しいタイプの人からしか生まれないのだから、古いものを無理やり受け継いでいくよりは、全く新規でチャレンジした方が、話が早いのではないか、と思いました。
私の仕事としては、そういったチャレンジを応援していくか、チャレンジしたものの壁にぶち当たって困っているいる若手経営者をサポートしていくというのが、今後の大きなテーマではないかと思っています。
環境的には厳しいものの、若い人のチャレンジ精神に期待するものです。
おしまい