「パリ国際会議」に出席して―久しぶりのヨーロッパ短期滞在見聞録―Ⅸ

「パリ国際会議」と銘打っているからには、多少の国際性も盛り込まれていなければ格好がつかない、と思っていたら、この日のゲストに中村江里子さんが呼ばれていた。

彼女は元フジテレビのアナウンサーで、フランス人の夫と結婚して今はパリ在住である。

 

私は彼女のことはあまり詳しくは知らなかったが、昔、女性週刊誌にしょっちゅう叩かれていたのは覚えている。

恵まれた経歴の女性にかくも同性である女の目は厳しいものか、といささか背筋が寒くなったものだ。

 

登壇した彼女は背が高く、舞台映えのする雰囲気の持ち主で、遠くから見ていても華がある。

彼女のフランスでの生活について、対談形式でいろいろと語ってもらう。

壇上の中村江里子さん

 

聞いていて面白かったのは、結婚してこちらに来てから覚えたフランス語を一日中使っていると、夕方にはクタクタになって、

「もうフランス語から離れたいと思う。」

というお話だった。

生活に不自由がないくらいまで使えるようになっても、母国語でない言葉は脳を疲れさせるらしい。

 

そのほか、フランス人のタフな生活ぶりや、国民性の違いなど、よく通るきれいな声で、整然と話される。

「さすが元アナウンサーだわい。しゃべりはお手のものだな。」

と感心して聞いていた。

 

この日の「パリ国際会議」は、中村江里子さんのお話が最後のプログラムで、そこでお開きとなった。

懇親会場に移動する際に、たまたまエレベーター乗り場で彼女を近くで見たのだが、それまで私が抱いていた印象よりももっと背の高い女性だった。

 

懇親会は当然フランス料理のフルコースである。

といっても、500人以上の大会場。それほどきめの細かいサービスなどできる訳もなく、大いなる喧騒の中での大宴会だったのである。

大会場での料理とはいえ、なかなかおいしうございました。パンはやたらと硬かった。

 

つづく