優秀な人材を集め、学ぶ環境を整えることが急務―BtoB企業の現状に学ぶマーケティング―16(おしまい)
寄せ集めではなく、優秀な人材の集合場所としての機能すべきマーケティング部門。
ここがいかんなくその機能を発揮するためには、どのように取り組めばいいのか、最後に庭山教授は次のように述べておられます。
― 要は優秀な人材を集め、学ぶ環境を整えることが急務です。
最初の数年は実績のあるプロと一緒にやりながらノウハウを吸収するのがよいでしょう。
明治政府は軍事、産業、経済、金融、医療など多くの分野の専門家を欧米から招き、徹底的に学ぶことで短期間に欧米列強に対抗できる強国を創り上げました。
その子孫である我々がマーケティング分野で同じことができないはずがありません。―
BtoB企業の改革に、明治政府が引き合いに出されるというのは、少々驚かされるところですが、産業構造の大転換という点では、明治維新に匹敵するくらいの大革新が必要なのかも知れません。
私は今回の庭山教授の提言を読んでいて、これはBtoB企業の問題とだけは言えないな、と思いました。
あらゆる場面の新規市場開拓において、マーケティング的発想や戦略は不可欠です。
しかし、日本の場合、BtoB企業だけでなく、他のすべての企業、業界、地域といった切り口で見ても、マーケティングへの理解、習熟度が著しく遅れています。
日本経済の未来を考えたとき、この分野のレベルを上げるための環境整備は急務といえましょう。
明治維新の転換期に国を挙げて取り入れたのは、欧米の法律や既定の制度、製造技術といった分野でした。
そして、そういった分野を高い水準まで育て上げることにおいては、日本は世界的にも大成功を収めたのです。
今、取り入れるべきはそういった既定の制度や技術ではなく、考え方とか柔軟な対応能力といった分野ではないでしょうか。
そういう意味では、単に、真似をするとか模倣するといった方法論では不十分です。
私はこの改革には、相当のエネルギーを要すると思っています。
前世代の価値観が強固だからです。
しかし、この先世代交代が進めば、その状況も変わっていくでしょう。
私が若い世代に期待する所以(ゆえん)なのです。
おしまい