日本特有の「贈答文化」―賞味期限の短いノウハウがエラソーだった日々―Ⅲ
冠婚葬祭、接待供応のほかに、これが成功モデルだ、として言われたのが「贈答」でした。
日本には昔から「贈答文化」というものがあります。
これはいわゆる欧米流のプレゼントとは少し異なっています。
その代表的な習慣がお中元、お歳暮という奴でしょう。
もちろんこれは、田舎だから・・というわけではなく、日本全国で行なわれている習慣です。
ただこれも、私がまだ東京でビジネスに従事していた頃、最大手の取引先から「虚礼廃止」の通知が届いてやめることになりました。
田舎に帰ってからもやはり大手の取引先企業から「虚礼廃止」のお知らせがあって、取りやめになったことを覚えています。
つまり、こういった慣習からも、私の知っている大手企業としては早々に手を引いたのでした。
他も同じではないでしょうか。
近代的なビジネスシーンでは当然のことだろうと思います。
しかしながら、地方においてはまだこれが盛んでした。
それほどのお付き合いのないところからも、何かにつけ贈答が行なわれます。
場合によってはこれに「お返し」をしなければなりません。
この「やったりとったり」は非常に煩わしく感じたものでした。
とはいえ、これも必要な成功モデルなんだから・・と言うことで、向き合うようにと強く促されたのでした。
さすがに徐々にその数を減らしてきてはいますが、いまだに一つの習慣として続いています。
さてここまで述べてきました「冠婚葬祭」「接待供応」「贈答」の3者はいずれも密接に関連性があります。
そうです、この3者は言うまでもなく「地縁血縁社会」を色濃く反映しているものなのです。
そもそもこの3者が成功モデルだったというよりも、「地縁血縁社会」では、この3者を受け入れなければ成功がおぼつかなかった、という意味で成功モデルだったことになります。
ということは、「地縁血縁社会」への強い従属が成功モデルとはいえなくなってしまったら、もはや成功モデルではなくなることになるのです。
つづく