「やってみはなれ精神」の欠如?―「トライアル&エラーの勧め」再び―Ⅶ
さて、私は自分が講師を務めたセミナーの中で
かつては、計画→実行→反省(過去にウェイト、動きが遅い)
現在では、仮説→試行→検証(未来にウェイト、動きが早い)
という解説をしています。
この前者の、計画→実行→反省というのは、PDCAに極めて似た考え方です。
これに対して私は当時(2001年頃)から「過去にウェイト、動きが遅い」と言っています。
これは、今回参照している記事の筆者の分析に、かなり近いといえましょう。
それでは、私が約20年近く前、
現在では、仮説→試行→検証(未来にウェイト、動きが早い)
と述べた、後者のより現代的なパターンについて、この記事の筆者はどのように述べておられるのでしょうか。
それは次のような記述の中に表れています。
―PDCAサイクルへのこだわり過ぎは、新たなビジネス創出の阻害要因になりかねない。
では、日本人は、こうした新しいビジネスを創出することが苦手なのだろうか。
筆者は決してそうではないと思う。
「やってみなはれ」。
サントリーを創業した鳥井信治郎氏も、松下電器産業を興した松下幸之助も、この言葉をよく発していたという。
やってみないと分からない、という意味が込められている。
まさしく「D」から入っていこう、というメッセージだ。
日本からイノベーションが創発されづらくなっている要因の一つに、「やってみはなれ精神」の欠如があることも、中国や米国での取材を通じて感じた。―
これは、「D」即ち「実行」から入ってみれば、という主張です。
つづく