目線をきちんと顧客に合わせる―税理士としての私のスタンス― Ⅸ

ここまで述べてきましたように、私が税理士を「資格」ではなく、「ポジション」と捉え、税務会計の知識を「専門性」ではなく、「媒体」と位置付けたのは何故でしょうか。

正確に言えば、ここに書いた「・・・ではなく」というより「・・・というより」とした方がよかったかも知れません。

 

なんだか言葉遊びのようになって申し訳ありません。

ただ、「・・・ではなく」の方が、言葉として、よりインパクトが強かったのでそう表現しました。

 

その理由について、これまで書いた点に加えて、更に説明するとすれば、それは私が「顧客と目線を合わせることが大事」と考えているからにほかなりません。

 

税理士が「資格」であり、「専門性」を教示する立場であるということを強く意識しすぎますと、どうしても上から目線で「教えてやっている。」という態度になります。

「それいいじゃないか!」というご意見もあるかも知れませんが、おそらく経営者は、慇懃無礼に「先生!」とか呼びながら、上から目線の態度には腹を据えかねている、ということがあります。

 

これは私が、我が業界を取り巻く様々な関係者に聞いた、偽らざる本音だと思っています。

いずれにして「上から目線」というのは、ろくな結果をもたらしませんので、ここのところは改めてしかるべきかな、と考えます。

 

もちろん、「資格」や「専門性」に対する、プライドや矜持といったものまで捨てろと言っている訳ではありません。

いかなる仕事であれ、そういった精神的支柱は持つべきものであり、自らの拠りどころでもあると思います。

 

ただそれは、内なる「秘めた情熱」とでもして持てばいいのであって、あまり表に出しても仕方のないものだと私は思っています。

そういったものを持ちながら、目線はきちんと顧客に合わせるといった「余裕」のような心境が必要なのではないでしょうか。

 

 

つづく