テクノロジーが進みルーチンの作業が省力化されたときは?―税理士としての私のスタンス― Ⅱ
東京を引き払い、故郷の鹿児島に帰る前に、税理士業界の現状を現役税理士の弟のところへ聞きに行った私。
このとき、弟と交わしたのは次のような会話でした。
「コンピュータの導入が当たり前になって、俺が大学出たてで会計事務所に入ったときよりは、業務処理はだいぶ進んでいるんだな。」
と私。
弟は
「おそらく、兄貴の知ってる頃よりは、かなり進んだんじゃないの。俺なんかもう電卓も持ち歩かないよ。」
といったものでした。
ただ私には、すぐ次のような疑問が浮かびました。
「こうやって、省力されてきたのはわかるんだけど、そうやって浮いた時間にほかにどんなサービスを提供しているんだい?」・・・・
マーケティングを生業にしていた私としては、その分(時間がかからなくなった分)を、何かプラスαのサービスに振り向けなければ、それまでの顧問料のままでは顧客が納得しないのでは、と瞬間的に思ったのです。
この疑問に対して、そのとき弟からは明確な答えは返ってきませんでした。
「まあ、保険の提案とか・・・・」・・・
つまり、私の疑問を彼は想定していなかったのです。
これは、弟がどうのこうの、というよりも業界全体の意識がそうだったと思います。
つまり、マーケティング的に考えれば、テクノロジーが進んでルーチンの作業が省力化された場合、次の2択を考えざるを得なくなります。
それは、サービスの量を増やすか質を上げる、または価格を下げる、のどちらかを選ぶ必要が出てくるのです。
当初、知らんぷりをしていたとしても、やがていずれかの選択を顧客に迫られることになるはずです。
そうでなければ、普通顧客は納得しません。
つづく