これほど旧泰然とした組織構造だったとは!―日大騒動に見る日本の悪しき古めいた体質― Ⅲ(おしまい)
第3に、驚かされたというより「うーん、これは!」と思わされたのは、世代間の違いということである。
今回は若者たちの取った態度に対して、年長者である大人たちがあまりにもみっともなかった。
アメフト部の監督、日大の理事長、広報担当・・・いずれも60を過ぎた年配者達である。
私に近い世代の人たちだ。
この分別やキャリアのあるべき人間たちのとった一連の態度は、何ともお粗末なものだった。
私は「近頃の若いものは・・・・」という言葉を使うことはない。
別に意識的に使わない、というよりは、本当にそう思う場面が少ないから使わないだけのことである。
若い人の、眉をひそめるような行動にたまたま遭遇したとしても、世代としてひとくくりにしないで、それは個別の話だ、と思うようにしている。
「近頃の若いものは・・・・」と、くくっていうのは、わりと年配の人間がよく使う常套句であるが、本当そうだろうか。
「近頃の若いものは・・・・」に続く言葉が「けしからん!」とか「なっていない!」というものであれば、割合的には年配者の方がその言葉に当てはまる人ははるかに多いように思う。
これは、私より上の世代についても同じである。
その至らない人間が、自分の弱点を糊塗するためにあのような恐怖政治みたいな体制を敷くのはないか、とさえ思ってしまうのだ。
年長者は自分の重ねてきたキャリアを背景に、もっと余裕を持って若い世代にあたるべきではないのか。
それに対して、反則を犯した選手、被害に遭った選手、日大アメフト部の他の選手たちの取った態度は筋が通っていた。
自分たちの思うところを素直に表現していたように思う。
「覚悟の足りない大人」ほどみっともないものはない。
日大の監督など、明らかにワルはワルだったのだから、それが露見した時は潔く認めればいいのだ。
今回の事件を見ていて
「これは日大だけの問題ではないのでは・・」
と思わされた。
日本中の様々な組織のトップに、まだあのようなタイプの年配者達がはびこっているのだとしたら
「早々に解決しなければ、これは日本の将来にとって深刻な問題だぞ。」
と、心底思ったのである。
おしまい