これほど旧泰然とした組織構造だったとは!―日大騒動に見る日本の悪しき古めいた体質― Ⅱ
第2に驚かされたのは、先述の大学の体質と相通じるところもあるのだが、アメリカンフットボール部の体質の旧さである。
アメフトという最も近代的なスポーツでありながら、あれほど旧泰然とした組織構造だったとは驚きである。
そのギャップに愕然とさせられた。
監督やコーチが恐怖政治的な管理体制を敷くなどというのは、昔のドラマや映画などで描かれる体育会系の誇張された世界かと思っていた。
しかしながら、我々がよく知るところの日大アメフト部という、案外と身近な現実世界に存在したのである。
アメリカ映画などでも監督やコーチが「卑怯な手を使ってでも勝て。」と選手をそそのかす場面もあるにはある。
確か「ベストキッド」という映画では、そうやって、敵役のコーチが試合に際して、自分の側の選手をそそのかす場面が描かれていた。
近年観たものでは「セッション」という映画で、サディスティックとさえ思われるような音楽の教師が、学生を肉体的にも精神的にもどんどん追い込んでいくというストーリーがあった。
これは観ていて、もうほとんど理不尽と言ってもいいような世界であった。
言うまでもなく、こういった映画では、そういったコーチや教師は敵役であり、悪役である。
今回の日大の事件では、それがまんま当てはまるような事態が起こったのだ。
それも、報道内容を聞いていると、映画に負けないくらい、生々しい陰湿な追い込み方であった。
日大アメフト部は、このあまりにも遅れた酷い状況を打破していくことはできるのだろうか。
相当なてこ入れが必要だろうと思う。
つづく