130年続く老舗会社の経営のヒント―ジェネレーションギャップの回避を可能にする方策とは―Ⅲ

先代と後継者のコミュニケーション不足を解決する一つの手段として、事業の持つストーリーの共有ということを提案したいと思う、と述べました。

 

事業の持つストーリーの共有ということでいえば、私の祖母のことを思い出します。

身近な存在であり、事業の持つストーリーを最も体現した一人だったからにほかなりません。

 

私の祖母は数年前に100歳という長寿を全うして亡くなりました。

その祖母は最後まで会社役員というポジションでした。

祖母が基礎を築いた製菓会社は、私の従弟が社長となり、今も営業を続けています。

 

祖母にとって初孫だった私は、生前祖母から会社のストーリーはよく聞かされました。

とはいっても、その内容を経営者という立場で私が理解したのは、私がそういうポジションについてからのことでした。

 

祖母の語ったストーリーというのは、何といっても昔の話ですので登場するのが、意地悪なお菓子組合の先輩経営者であったり、頭の固い砂糖配給担当の役人であったり、と古い日本映画みているような世界でした。

また、馬車を使っての一日がかりの移動の話など、今の時代から考えれば、随分前近代的な内容が多かったことを思い出します。

 

しかしながら、その武勇伝はなかなか面白く、祖母の生き方そのものも含めて共感できたものです。

経営者として聞いていても、実に示唆に富んでおり、参考になったことも多々ありました。

 

それは単なる苦労話ではなく、その端々に、130年続いてきた老舗会社の経営のヒントのようなものがちりばめられており、興味深く聞いたことを覚えています。

 

 

つづく