「ほおずき」と「縁切り寺」に見る日本女性の風情は幻想か?Ⅴ(おしまい)
さて、さだまさしの歌に出てきた、どこか和風の儚げな女性たち。
男どもに「守ってやんなきゃ・・」と散々思わせといて、最後は自分からバイバイかい!と、苦い思いを抱かせます。
かつて、いかにも欧米仕込みマインドの女性コピーライターに
「海江田さん、そんなの幻想、幻想!」
と一蹴されたのは、もう20年以上昔の話であります。
現代の女性たちはどう思うでしょうか。
例えば、私の娘たちならば、幻想とかいう前に
「なにそれ!?!あり得ない!」
と、その存在自体を否定するでしょうな。
「そんなおかしな人類が生息している訳がないじゃない!」と。
ということは、なんとなく「こんな女の子、いいよなー・・・」と思っていた若い頃の私自体、「ばっかじゃないの!」となる訳で、全くもって立つ瀬がないことになります。
「ほおずき」で、なんとなくほろ苦い想い出を抱きながら、彼女と行った祭りに一人で行く男性も情けない感じですが、「縁切り寺」の方はもっとそれこそあり得ない話になります。
その歌詞が
―あの日誰かに頼んで撮った
一枚きりの一緒の写真
納めに来ました縁切り寺・・―
ふられた女と写った写真をお寺に納めるんかいっ!・・・そんなこと、女だってしないわい!
と、さらに突っ込みたくなりますが、こんなマインド、ホントに昔はあったんかいな?!?
とまあ、男の女々しさにいささかげんなりしながらも、全体的には私にとってこの日本的な風情というのは捨てがたい訳で、心の中で小さな突っ込みを入れながらも、遠い想い出とともに、さだまさしことグレープの歌に聞き入っていた私でした。
おしまい