経営者の情報発信―二代目の視点によって独自性を際立たせる―Ⅱ(おしまい)
「事業者目線」としてだけでなく「顧客目線」で見たらどうか、という視点を自らの発想に明確に組み入れて、より客観的な自社評価というものを可能にすることができるのが後継者。
さて、問題はここだけにとどまりません。
むしろ本題はこれからです。
そうやって掴んだ自社の客観的な評価を、今度は一つの情報として発信していくのです。
表現には気をつけなければなりませんが、自社がこれまで守ってきたもの、大事にしている考え方や価値観といったものを伝えて行くのです。
その際に先述の「素人目線」や「顧客目線」という別角度を組み入れることで、それを読んだり聞いたりする第3者にとって随分と理解しやすい内容となるはずです。
自社の事情や専門性にあまりにもどっぷりと浸かってきた現役経営者には、少々難しい課題であるのが自社の特長や考え方を客観的に伝えるという使命。
この情報発信も、俯瞰的見ることのできる後継者であればよりうまくいくかも知れません。
社内の実務面ではぶつかることの多い先代と後継者。
そういったお互いの立場がそれほど影響しないのが、外へ向かっての情報発信といえるでしょう。
そこにおいては、先代と直接の接触点がないので、後継者は比較的思い切ったことを言ったり書けたりできるのではないでしょうか。
もちろんその内容は、基本的にポジティブなものであり格調の高さといったことも必要です。
後継者であれば、自社の事業がどういった歴史をたどり現在どういう立場にあるのか、将来的にはどういったポジションを想定しているのか、といった情報を現代的な表現で伝えることはできると思います。
そうすれば、思うところをいろいろ存分に情報発信できるはずです。
これまで何回も述べてきましたが、そういった情報発信を継続して行なうことそのものが独自性を生んでいく基盤になります。
後継者はその有利な立場を活かして有効な情報発信を心掛けてください。
おしまい