価格競争に巻き込まれないために・・―極めて重要な要素である「隠れ企業資産」ーⅠ
販売不振に陥ったとき、なかなかいい知恵が浮ばないと「値段を下げたらどうだろう?」というところへ、つい行きがちになります。
私が、これまで見てきた多くの経営者がそうでした。
有効な販売促進策が思い浮かばない経営者に限って、つい「値下げ」という策へ行きつくのです。
しかしこれは、どう考えても、最も安易で最も愚かな策と呼ばざるを得ない一手なのです。
以前、私のクライアントであるガソリンスタンドの社長が、近隣の大手資本のスタンドが仕掛けてきた価格競争に真っ向から対抗したことがありました。
果てしない値下げ合戦の末、とうとう向こうが音を上げる形で終止符を打つことになったのです。
結果的に、その年の決算書では、売上はそのスタンド史上最高のものになりました。
ところが、利益は赤字ではなかったものの近年では最低の、ギリギリ黒字でしかなかったのです。
鬼ように働いたにもかかわらず利益はチョボチョボだったことになります。
最後に、あんな消耗戦は二度としたくない、と社長が吐き捨てるように言っていた姿を思い出します。
これは、仕掛けられてやむなく受けて立ったというお話です。
ただ商売を続ける限りは、少なくとも自分から値下げの口火を切るという愚は避けたいものです。
つづく