父が逝った―亡くなるまでの1週間を振り返って―Ⅷ

その日、病院へは家内が運転をして母を連れて行った。

昼間、病院の母と連絡してみると、父は一昨日と違ってもう起き上がることもなく、大人しく寝ているようだった。

 

というよりは前日から食事も水も取っていないために弱っていく一方なのだろう。

もともと腎臓に障害があり、透析を勧められていた父は、この状態になってから水を与えても身体がむくんで苦しむだけ、と診断され水も絶たれていたのである。

 

その夜は、もう家族がついていなくてもいいですよ、との病院側の判断もあり、母も連れて帰ることにする。

夕方病院を出た我々は一昨日家内と食事をしたカフェレストランに立ち寄った。

 

一昨日の喧噪とは違い、平日の夜は客もまばらである。

普段よくしゃべる母もさすがにこの夜は口数も少なく、3人で静かに食事をしたが、誰もそれほど食は進まなかった。

 

翌日の水曜日には、妹や私の娘たちが東京から帰ってきた。

午前中、空港までベビーシートのセットされた家内の車で私が迎えに行く。

 

妹と私の長女と次女、それに長女の娘である赤ん坊を乗せて病院へと送り届ける。

この日、母は先に家内が、私の車で病院まで送って行っており、二人は病室で待っていた。

 

つづく