メディア化戦略とブランディングⅥ
アップルやダイソンの成功について著者の小林氏は次のように続ける。
― いったい誰が、定番かつ、どんどん安価になる一方だと思われていた携帯電話、掃除機、扇風機といった商品を革新できると思ったでしょう。
このようなイノベーションは、「上司説得型マーケティング」を繰り返していては生まれきません。
当然のことながら、まずトップのビジョンありきです。
これは商品力としては最強です。
それは、インタンジブル(無形のもの)であり、複製できません。―
物質文明が極度に達したといわれる現代先進国社会において、いわゆるレッドオーシャン、飽和状態の市場はいくらでもあるといわれている。
もう新規参入、新規需要の掘り起こしなど到底無理!と言われている世界だ。
上記のように、携帯電話や掃除機、扇風機といった家電類はその最たるものだっただろう。
しかし、アップルやダイソンは、これらの市場を新しいコンセプトの商品で、再びこじ開けた。
かつてのユニクロも、もはや新規参入の余地などない、と言われていたカジュアル衣料の分野に打って出て、今や日本一のアパレル産業となった。
考えてみれば「もう無理!」というのは、「上司説得型マーケティング」を繰り返すしか能のない企業のイクスキューズなのかも知れない。
この筆者が言われるようにトップの優れたビジョンがあれば、この現状はいくらでも打破できる可能性があるのだ。
つづく