どうなるんだろう?Ⅱ(おしまい)
羨ましいわけではないが、まだほとんど先の見えない我が身と、あまりのギャップになんだか落ち着きが悪いのだ。
私と同じように個人事務所を経営している同級がいた。
彼は建築家で、以前話をしたとき、私と同様事務所の経営に苦労しているようだった。
お互い借金返済に四苦八苦しているという意味で、妙な同士意識を持ったのである。
「よう、同士、相変わらず借金に苦しんでるかい?」
と、酒を片手に、私は彼に軽口を叩く。
そうすると
「いや、だいぶ減って、あと少しになった。」
との返事。
肩すかしを食って私はガクッと来る。
裏切られた気分だ。
「まあ、そうだよなあ。ここまで来たら、それくらいの目途はつけておかなくちゃおかしいよなあ。」
心の中で軽く嘆いている自分がいた。
まだ完全に登り坂の途中の自分がいる。
へーへ―言いながら登っているが、坂の頂上が見えない。
一方で、すでに平坦な道に入った同窓たちがいる。
彼らは
「さて、これから何をしようか。楽しみだなあ・・」
といった心境なのかも知れない。
とはいえ、平均寿命を考えるとあと二十年近く。
どうやって残りの人生を充実したものにしていくか。
「どうなるんだろう?俺。」
な心境の日々である。
おしまい