先行投資の肝っ玉Ⅱ
改めて考えてみるとこれはすごい話だなあ、とつくづく思う。
「いやー、あの頃は高かったんだよね。」
と、振り返る言葉の中に、恨みつらみは微塵も感じられない。
実際、そんなことは考えてもいないだろう。
現在の機能性、容量、価格などからすると、べらぼうな買い物だったにもかかわらず、「失敗だった。」などとは、これっぽっちも考えていないところが大したものなのだ。
何故私がこんなことを思うかといえば、逆の話は散々聞いてきたからである。
思い出してみると、今から30年前から20年前くらいにかけて、コンピューターの中小企業への導入は大きな課題であった。
我々の業界に対するものだけでなく、ほかの多くの業界においてもこの課題は共通していたのだ。
で、何が起きたかというと、コンピュータ及びそのソフトの導入に失敗する企業が続出したのである。
中小企業の事業規模で数百万、場合によっては数千万円の設備投資は大きかったのだ。
しかも、現場サイドの工作機械などと違って、コンピュータを動かすにはソフトへの理解が不可欠である。
この点で、導入したものの使いこなせない企業が軒並み出現したのである。
つづく