先行投資の肝っ玉Ⅲ

空調設備や、保冷装置、工作機械などアナログ的に回せる機械(これらも今ではデジタル装置による管理体制に移行しているが・・・)への投資と違って、コンピュータは導入してもそのままではすぐには動かせない。

まず、その独特の世界観に慣れなければならないのだ。

 

販売管理や財務管理のソフトは、この世界観をある程度理解しなければ動かせないようにできている。

コンピュータの世界は、そこで使われる様々な言葉もまた、これまでに聞いたこともないような専門用語である。

 

即ち導入後、使いこなすためにはデジタルの持つ世界観をまず理解しなければならない、という壁にぶち当たってしまった。

つまり、それまでの設備投資のときと違い、すぐには思うように動かせなかったのである。

 

使いこなせないまま何年間も放置、といった事態も多くみられた。

その結果、こちら側の問題はさておいて、社長さんたちの中には

「コンピュータ会社に騙された。」

「馬鹿みたいに高い買い物をしてしまった。」

という空気が蔓延した。

 

そしてそれは、コンピュータに対するアレルギーという症状になって表れたのである。

結局使いこなせなかった社長さんたちは、ほこりをかぶって何年間も放置されたままのコンピュータ装置を見るにつけ、おそらく癪に障ってしょうがなかったに違いない。

 

 

つづく