明らかに変化してきたビジネスシーン―「暗黙知」と「形式知」について考える―Ⅰ

近年、或ることをよく考えるようになった。

それは、長年ビジネス現場で身に付いた経験則や簡単には言葉で表現できないようなキャリア形成と、情報のやり取りやデータの処理といった実務上の具体的なスキルとの相克、というか対立構造のようなものがあるのではないかということである。

 

おそらく昔は、前者の経験則のようなもの方が優位性を保っていたのではないだろうか。

例えば、先輩の背中を見て学べ、とか、わが社の伝統文化を肌で感じろ、とか、上司の声色で何を求められているか察しろ、とかマニュアル化できないようないわゆる「暗黙知」と言われる分野が重要視されていた。

ということは必然的に、より長くキャリアを積んだ年配者の方が原則有利ということになる。

 

年功序列が当たり前とされていた雇用形式の時代では、上記のような法則が成り立っていた。

この法則のもとでは、長くその職場に慣れ親しんだ人の方が、より重宝されたのである。

 

しかし、現在のビジネスシーンでは、コンピュータを道具として駆使する業務の効率化、生産性の向上といったことが何よりも優先される。

そうなると、「暗黙知」によって優勢を保っていたおじさん軍団には旗色が悪いことになる。

コンピュータの持つ特質やその操作に長けていないことには、仕事がスムーズに進まないからである。

 

コンピュータの操作に慣れるというのは、別に「暗黙知」とは言えない。

それなりに集中して学習すれば身に付くもの、つまり「形式知」と言えよう。

コンピュータがここまでのデータの処理能力や情報の受発信の高度な能力といったものを有していなかった以前のビジネス社会であれば、個々人の持つ経験則や知識の方が、ビジネス現場でそれなりの威力を発揮していた。

 

しかし今や、パソコンに関するスキルを持たず、データの処理や情報の取り扱いに長けていなければ、職場においてはもはやお荷物扱いである。

アナログ的処理方式や情報伝達方法しか受け入れられないとすれば、その人間はスポイルされるしかないのだ。

 

全員、パソコンを手にしてのミーティング

 

つづく