足で稼ぐしかなかった―「働き方」について思うこと―Ⅶ

日本経済がバブルの頂点へとまっしぐらに突き進んでいたちょうどそのとき、仲間たちで起業したベンチャー企業は、その波に乗って急成長を遂げました。

次々と大手企業が仕掛ける新規事業のマーケティングリサーチに関する受注は引きも切らず、ほとんど殺人的ともいえるような忙しさで働いていたのです。

 

その頃の働き方といえば、超長時間労働が当たり前の世界で、次々と発注されるレアな案件を、全社全員体制で必死にこなしていました。

そんな「働き方」に終始したのは、単に受注が多かったというだけでなく、そのほかにもいくつかの理由がありました。

その理由については、これまでご紹介してきた通りです。

 

そのほかにも、超長時間労働の「理由(わけ)」を挙げればきりがありませんが、最後にもう一つ挙げるとすれば「まだアナログ中心の世界だったので足で稼ぐしかなかった」ということになります。

どういうことでしょうか?

 

おそらく、今「マーケティングリサーチ」の仕事をするとすれば、昔とは全く異なるやり方になるでしょう。

というのは、ありとあらゆる職場や家庭にもPC(パソコン)が普及し、さらにスマホはもっと普及した現在では、様々なデータを瞬時に手元で検索することができるからです。

 

日本経済がバブルを迎えていたとはいえ、当時はまだPCも普及していなければインターネットもなく、ましてやスマホどころか携帯電話も世の中には存在しませんでした。

高性能のPCといえば、といわれていた時代で、現在の何十分の1のスペックしかない1台が、まだ随分高価だっ「Mac(マック)・・アップル社」たのです。

 

パソコン通信(懐かしい言葉ですが・・)にかろうじて仕えたのはMacだけで、しかも度々フリーズしてしまうという厄介なPC環境でした。

私たちはその高価なマックを、金融機関から借入までして購入し、データの処理と当時お付き合いが始まったシンクタンクとのやり取りに使っていたのです。

 

世の中にネット環境が存在しないということは、ほとんどのデータは足で稼ぐしかない、ということになります。

おそらく今は、どんなレアな珍しい案件であっても、そのとっかかり部分はまずはネットで調べると思います。

 

当時はその環境がなかったので、様々なデータに直接当たるしかありませんでした。

実にアナログな世界ですが、それしか方法がなかったのです。

その方法はおおむね次のようになります。(以下、すぐに続く)

 

 

つづく