多様性を容認していく―事業の継続性について考える・・ゴーイングコンサーンを実現できるか?―Ⅵ

税理士になって、或いはなる前から、この業界の個々の事務所が小規模であることに起因する「事業の承継が難しい」ということと「長く働こうと思わない」という二つの課題を何とかしようと思っていた私。

業界全体の体質を変えていくのはなかなか難しいと感じたので、とにかく自分の事務所については、現代のビジネス環境にあった組織形態にしようと思いました。

 

それまで、体育会系のイケイケ意識の強かった私も、パートナー税理士の説得によって、就業規則の整備、従業員待遇の改善、所内OA化の推進などに着手したのです。

さらに、これらの集大成として「税理士法人の設立」というレベルまで達成することができたのです。

 

通常、企業というのは、ゴーイング・コンサーン(会社が将来にわたって事業継続していくとの前提のこと)を目指します。

この業界に入った最初の頃

「事業が半永久的に持続することを前提に企業経営というのは行なうものである。」

と教わりました。

 

これは会計業界の場合、自らのことを指すのではなく、「顧客企業にずっと続いて欲しいから・・」という意味になるようです。

私はそれではちょっと情けない、というか弱いなと思いました。

自らの事業もゴーイング・コンサーンであるべきだろう、と考えたからです。

 

しかし現状は、冒頭から申し上げているように、それとは大きく異なるものでした。

一般的に税理士というのは、なんとなく開業して、飯が食えて、やがて働けなくなったら、畳むか譲るかして、はいおしまい、という風に見えたのでした。

 

事務所内に資格取得者が出た場合は、黙って独立するか、のれん分けをするか、顧客を収奪してトラブルか、等々、いずれにしてもより小さな単位に分裂することになります。

私は、自分の事務所で誰かが資格を取ったとしても、ずっと一緒に仕事を続けていくということはできないものか、と考えました。

 

そのためには、組織の形を整え、規模を大きくしていく必要があります。

また、資格取得ができなかったとしても、ある程度の規模があれば、組織内で自分の得意分野などを作って存在感を発揮することもできます。

 

そんなとき、多様性を容認し、収益性の高い組織であれば、働きに応じた報酬を約束することで、長く働いてもらうことも可能になります。

私は、自分の職場をそんな組織にしたいな、と思いました。

黒板に書いたグラフ図

多様性を容認する

つづく