体育会系的がむしゃらな働き方は通用しない―事業の継続性について考える・・ゴーイングコンサーンを実現できるか?―Ⅴ

税理士事務所を一つの業態と考えた時、「事業の承継が難しい」ということと「長く働こうと思わない」という2点が、私にとって大きな課題でした。

これは「私にとって・・」というよりは、業界の抱える大きな課題でもあったのです。

 

40代50代の頃までは、業界内の役職に就いたりして、業界そのものがこの課題を解決できるように動いてくれないか、と試みてみました。

しかし、業界というのは、税理士会に限らず根本的に保守的な体質です。

そのため、業界ごとこの試みを実現するのはなかなか難しい、ということがわかりました。

 

そこで、業界の役職を離れ60代になる頃には、とにかく上記の課題を解決するために、自分の事務所を充実したものにしよう、とそれまでの考えを切り替えることにしました。

そんな発想のもと、まず手を付けたのが職場の組織編成を強固なものにしていこう、というテーマでした。

 

ちょうどその頃、税理士法人制度が普及してきて、全国的に大きな組織が編成されつつありました。

私もすぐにでもその制度に乗っかろうと試みたのですが、複数の税理士が必要なことや、財務的な理由でそのときは実現することができませんでした。

 

その後、職員数を増やし、仲間になってくれる税理士を招へいすることで、組織編成を進め、法人化への準備を進めたのです。

とはいえこの段階では、まだ私の意識が、零細企業である個人経営者の域を出ていなかったのです。

 

ちょうど世の中は、労働環境を整え、労働条件などを整備することに関して、コンプライアンスの順守が厳しくなっていました。

そのことを仲間に加わった女性税理士に指摘され、労働時間の厳守や細かい点の保証などについて、就業規則の整備を提案されたのです。

 

以前、東京で起業した際に、体育会系的ながむしゃらな働き方で事業を伸ばした経験を持つ私にとって、そういった提案は相当な違和感がありました。

当初

「そんなことを守っていたら、中小企業経営なんてできっこない!」

と抵抗を覚えていた私も、粘り強い彼女の説得や社会保険労務士の力も借りて、そういった規約なども次第に整備していったのです。

 

そうしてようやく昨年(2021年)税理士法人の設立にこぎつけることができました。

こうすることで、形としての組織編成は、何とか成し遂げることができたのです。

 

こんな本を読みながらひたすらがむしゃらに・・

つづく