極めて新鮮なライフスタイル情報「TAKE IVY」―「着道楽」?楽しく、面白く生きるのが、私の人生の目標(by石津謙介)―Ⅵ
IVYファッションにはル―ルのようなものがあって、何でもかんでも好きに着ればいいというわけにはいかないのだ、と学んだ私。
とはいえ、ボタンダウンシャツにネクタイ、とか、シャツをすそだしのまま着る、などというのには最初違和感を覚えた。
これは、IVYの着こなしというわけではないが、ちょっと似たような話で、最初に素足に革靴というのにも、強烈な違和感を持った。
あの恰好を始めて見たのは確か、男性誌のグラビアであった。
イタリアのいい年をした親父が、上下ちゃんとしたスーツを着ているのに、足元だけは素足に革靴だったのである。
しかもそれは、カジュアルなローファーとかではなくて、ちゃんとした紐靴であった。
このときも「なんじゃこりゃあ!!」と思った。
何回見ても、私の目には「変」としか映らなかったことを思い出す。
これもその後見慣れたせいか、それほど違和感は覚えなくなってきた。
日本でも石田純一あたりが、素足にローファーといった格好を売り物にしているようだが、いい年してそれが何だというのだ。
彼の場合、印象として見た目の「軽さ」がどうにもぬぐえない。
と、ここまで書いて「待てよ!」と思った。
「そういえば・・・」ってんで、昔の本、「TAKE IVY」を引っ張り出してみた。
そうすると、バミューダパンツにローファーを素足で履いて、キャンパス内を歩いているIVYリーグの学生がいるではないか。
半ズボンに素足に革靴!
この画を最初見たとき、私ならずとも日本人であれば少なからず驚いたはずだ。
とにかく、革靴を素足に履くというのが衝撃だったことを覚えている。
なんといってもまず頭に浮かんだのは
「素足のままずっと履いていて、足が臭くならないか?!?」
ということである。
それなりに高価であるはずの革靴が、素足で履いちゃったがために臭くなったら、スニーカーみたいに洗えないではないか。
いったいどうするんだろう?!?と余計な心配をしたものだ。(同じ思いは今でもある。だから、足の甲までだけを覆う小さな靴下が登場したのだろうけど・・・)
ところで、「TAKE IVY」というのは、1965年に出版された東部の大学生の写真をつづった一冊の写真集である。
当時、IVYファッションのバイブルとして売れに売れたらしい。
私は2011年、その復刻版を買った。
中をめくってみると、当時のIVYリーグの学生たちの生態が実に生き生きと捉えられている。
ただ、現在に比べると、写真の解像度がいかにも荒い。
それでもあの頃は、極めて新鮮なライフスタイル情報としてありがたがられたのであろう。
ハーフパンツに素足に革靴!衝撃でした。
つづく